ライト キス
俺の好きな歌手のフレーズが頭の中にうっすらと浮かんだ。
他の子なんか見ないで、此処でキスして。
唇に触れるか触れないかの優しいキスをした。
彼女の塗るグロスがふんわりと香る。
家がまるるで近いとは言い難かった。
当時街ではかなり目立っていた7階建てのマンションの、俺は7階であいつの家は1階だった。
しかし7階建てのマンションに溢れるほどの子供たちがいたのにも関わらず、
俺とあいつは仲が良かった。不思議としかいいようがない。
俗に言う、幼馴染というやつだ。
あいつは小さい頃からえらいマセていて、幼稚園を卒業する頃には隣町の小学校
高学年の男を捕まえ、彼氏とほざき。
小学校を卒業する頃なんて、「ブラのサイズがもうCじゃ入らないの。晴樹うらやましい?」
なんて言ったものだ。
中学校であいつは某有名高校生の男にすべてをあげてしまったらしいし。
高校を上がると同時に社会人の彼氏との結婚を本気で考えていた。
アホなのだ。考える事。やる事すべてが。
だけど許されてしまうのは、あいつが単に他の女の子よりもずば抜けて可愛らしい。
という事に尽きるだろう。
幼馴染の俺から見ても、あいつはとても可愛らしくて、よくあいつの口から漏れるきつい。というか、
汚い言葉をよく否めたものだ。
あいつは小さい時から華やかな顔つきをしていて
小学校を卒業して即効で染めた髪の毛はなぜか今でも艶を保っていて
いつも潤っている不思議な瞳は、男が見つめても眼が離せないような吸い込まれる瞳をしている。
しかし、先ほども言ったようにあいつは小さい頃から口の汚いやつだった。
「はあ?なんであたしがやらなきゃいけないの?晴樹そう言ってきてよ。」だとか、
「だって一緒にいたいんだもん−−−−。お母さんには晴樹から適当にごまかしといて。・・あ?
ばれたら殺すわよ。」だとかね。
しかしなぜか。あいつの隣に常に居続けたのは、何を隠そう俺だったのだ。
華やかな女だから同性からは嫌われていたし、だからと言って異性では話にならなかったのに・・。
どうしてだろう。
あるときどっかの馬鹿な女(当時俺が付き合っていた女だったんだが。)に問い詰められた事がある。
「ねえ!本当は彼女のこと好きなんでしょ!!」
俺のドコをどう見ればそう見えるのろうか。
俺ほどあいつに発情できない人間はいないというのに。
「絶対ないよそんなの。」
結局俺とその女は別れることになった。
だって仕方がない。それほど俺のことを理解してくれない女と付き合うわけにはいけないから。
その後、あいつに聞いてみた。
「絶対ないよそんなの。」
そりゃあそうだよなあ。と思った。
今から5年前の話だ。
「ちょっと晴樹。聞いてよ−−−っっ。私のこのウェディングドレスを見て、昔の男が
涙を流してたわよ!!超−−−してやったりって感じ。」
「杏。お前、そういうことを絶対に他の人間の前で言うなよ?引くから、ぜったい。」
「春樹の前以外じゃ言わないも−ん。っていうか、これってトイレどうやって行くのかなあ?」
杏はきゃっきゃと騒ぎながら、純白のドレスのまま俺に抱きつく。
−−−人生とはありえない事もあるということだ。
絶対なんて、どこにもないらしい。
「ねえ、誓いのキスのときにさあ私の胸に触れるようにしてキスしなさいね?
そのほうが盛り上るから。」
「・・・盛り上がりかよ。」
「私がよ。晴樹のキスの仕方好きよ。・・まぁ優し過ぎんのが難点だけどね−。」
杏の唇が俺に触れた。
あの時別れた彼女に謝罪でもしとこうかな。と少し考え込んだ。
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